江戸切子の代表的文様 vol.2
「江戸切子」の表面に刻まれた、細かな線で構成された美しい模様。それらは「文様(もんよう)」と呼ばれる、カットガラスに欠かせない要素です。今日まで、職人たちの手で、脈々と引き継がれてきました。
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同じ線を連続させたり、違うものを組み合わせたり。工房や職人によって、文様の表現にはさまざまなスタイルがあります。
ここからは、数ある中から代表的な文様をご紹介します。
魚子(ななこ)
切子面の細かな光の反射が、まるで魚のうろこのよう。名前の由来は、魚の卵がたくさん連なっているように見えることからと言われています。古く「魚」は「な」と呼ばれていたため「な(魚)」の「子」で「ななこ」と読みます。その名から「子孫繁栄」の願いも込められた、江戸切子の基本的な文様の一つです。
菊籠目(きくかごめ)
縦・横・斜めの直線で連続する文様を繋ぐように表現する「菊繋ぎ」と、立体的な力強さのある格子文様「籠目(かごめ)」を組み合わせた伝統文様です。難しい2つのカットを同時に行うため、職人の高い技術が問われます。また、「菊」には「高尚」「高貴」、籠目は「魔除」という意味をもつため、縁起を担ぐ贈り物にもおすすめです。
菊花(きっか)/底菊(そこぎく)
伝統文様の中でも、よく見かけるものの一つ。その名の通り、菊の花のような形をしています。グラスの底面にあしらわれることも多く「底菊」と呼ぶことも。底に施すことで、覗き込んだ時にも華やかな印象で、切子(Kiriko)の魅力を堪能できるでしょう。ちなみに、菊の花言葉は「高貴」。華やかながら上品な印象も感じる文様です。
蜘蛛の巣(くものす)
たくさんのカットを幾何学的に交差させていく、きらびやかで、職人の高い技術を感じる伝統文様の一つです。名前の通り、まるで蜘蛛の巣のようなその文様には「幸運を絡めとる」という意味があるとも。中央をまでカットを施す「芯あり」と、中央は丸く抜けている「芯なし」の2通りがあります。
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切子(Kiriko)の文様の意味を知ると、選んだり使ったりする喜びが、ますます増していきます。また、別の機会に、ほかの文様もご紹介します。どうぞお楽しみください。