垣根を超えて愛せる江戸切子のロックグラスとタンブラー

手に取り、眺める時間もよろこびになるようなグラスで、心のままに一杯を味わう。この秋、そんなひと時に寄り添うロックグラスとタンブラーが「室町硝子工芸」から登場しました。

室町硝子工芸は、日本の切子職人の技や、その丁寧な仕事を未来に繋げたいと、様々な作品をご紹介しています。2020年の冬からは、江戸切子の魅力をさらに知っていただくため、オリジナル商品(ワイングラス)の販売もスタート。初めて江戸切子を手にする方や、日本の伝統工芸品に触れたことのない方にも手にしていただきやすい、シンプルでモダンなグラスです。

新しいグラスは、オリジナル商品の第二弾。江戸切子の定番ともいえる、2種類の形でご用意しました。

製品一覧はこちらから

切子グラス 唯千・壱甲 ロックグラスとタンブラー

江戸切子らしさとモダンなデザインの両立

目指したのは、江戸切子ならではのきらめきはそのままに。あくまでも、モダンな意匠です。

江戸切子は、赤色や瑠璃色など表面に色のついたグラス素材に、伝統的文様をいくつか組み合わせて表現するのが主流です。カットにより現れる、色のグラデーションや文様が織りなす輝きは、唯一無二の美しさがあります。

しかし、このロックグラスとタンブラーは、無色透明のクリスタルグラスを使い、カットする伝統的文様は1種類。あえて使用する色や文様を絞り、江戸切子の新たな可能性を追求しました。ご覧の通り、シンプルな姿ゆえ、グラス素材の品質や、職人の高い技術、そしてデザインの独創性などが問われます。

美しさの可能性を広げる

古きよきを知り、新しいスタイルを創造して未来に繋げる。今回のロックグラスとタンブラーには、様々な技術や工夫を込めています。

まず、グラス素材には、透明度の高い国産メーカーのクリスタルグラスを採用しました。クリスタルガラスは光の屈折率が高く、カットを施した際に、よりキラキラと輝きます。また、鉛が含まれているため、指で軽く弾くと澄んだ音がするのも特徴。氷を入れた時や、氷の入ったグラスを傾けた時などに、美しい調べをおたのしみいただけるでしょう。

切子 唯千ロックグラス  氷とウイスキー入り

次に、現代において広く愛される、江戸切子の新たな美しさ。その実現には、普遍的な伝統的文様を突き詰め、より洗練されたものへアップデートする必要がありました。

そこで用いた伝統的文様は、2種類です。「唯千(ゆいせん)」には、縞模様の「千筋(せんすじ)」を。「壱甲(いっこう)」には、亀の甲羅をモチーフにした六角形が連なる「亀甲(きっこう)」を採用しています。いずれも日本文化において長年親しまれる、シンプルな文様です。線の並ぶカットのみの「千筋」。そして、面の並ぶカットのみで表現する「亀甲」。それぞれ単純なように見えて、均等で美しいカットには職人の腕が問われる文様でもあります。

これらを、最も美しく味わっていただくために。線や面の、本数や幅など、カットの細かさと密度。グラスのどの高さまで、どの程度カットするか。デザイン性はもちろん、光に照らされた時の美しさや、手触り、口当たりなどにも関係するため、試作を繰り返しました。

切子のロックグラス・タンブラー 唯千・壱甲シリーズ

ちなみに、底面にはカットを施していません。これは、シンプルな文様を強調するように。グラスを覗き込むという、飲む時や眺める時間に生まれるよろこびをより充実させるため、あえてこのようなデザインに仕上げています。

そして、このシンプルなデザインは、江戸切子の職人がカットすることで一層輝きます。

切子タンブラー 唯千(ゆいせん)タンブラー

「唯千」の細かな縞模様は、微妙な手のブレも美しさに影響します。均等に、細やかに。一定に刻まれる、エッジのきいたシャープなラインは、高い技術の現れ。凛とした、涼やかな光を放ちます。

切子ロックグラス  壱甲(いっこう)ロックグラス

「壱甲」の、グラスの広がりに合わせて刻む大小の六角にも、高い技術が込められています。なめらかな面と、線のエッジで表現される亀甲文様。一定に、シャープに刻んでいくのは、確かな経験から。これにより、文様同士が反射して生じる映り込みもたのしい、華やかな輝きを味わっていただけます。

五感で味わう江戸切子のグラス

これらが組み合わさって、「唯千」と「壱甲」は、現代になじむ普遍的な姿に仕上げているのです。この2つのグラスを、室町硝子工芸では、五感で味わっていただきたいと考えています。

眺めて(視覚)うれしく、おもしろい。持って、触れて、心地よい(触覚)。氷の当たる音もたのしい(聴覚)。そして、好きな飲み物をじっくり味わえる(味覚・嗅覚)。

切子タンブラー 壱甲タンブラー

大切にすれば一生ものになり得る江戸切子。様々なシーンでお使いいただけるデザインだからこそ、いつの間にか感覚を刺激されるような存在に。そして「飲む」というグラス本来の役割にとどまらず、お客さまの日々を、より豊かにするような存在になれたら。室町硝子工芸が、江戸切子の定番ともいえるグラスをご用意したのには、このような想いもあるのです。

形は違えど同じきらめきを共有する

大切なあの人の顔を思い浮かべながら選ぶ、贈り物。お祝い事や人生の節目などを、共によろこぶ気持ちを込められるものを。そして、せっかくなら、どなたにも使っていただきやすい一品を選びたいものです。

「唯千」と「壱甲」は、どのような空間にも似合うよう、仕上げています。なおかつ、江戸切子職人が一つひとつ丁寧にカットした独特のきらめきで、日常のひと時を一層鮮やかに彩ります。ご自身の大切なグラスに、そして贈り物としても、きっと歓迎されるはず。

切子 唯千・壱甲シリーズ ドリンクを入れて楽しむ

グラスのたのしみ方は人それぞれですが、室町硝子工芸は、ロックグラスは男性に。タンブラーは女性におすすめしています。

ウイスキーなどハードリカーが似合うロックグラスは、重厚感のあるつくり。力強い男性の手に、よりなじみます。一方のタンブラーは、ビールや日本酒、果実酒、シロップを割ったノンアルコールドリンクなど、幅広い飲み物を受け入れてくれる形。気分や好み、体調などで様々にたのしめます。また、グラスを持つ所作も美しく魅せてくれるので、タンブラーは女性にぴったりです。

切子 壱甲ロックグラスと壱甲タンブラー

ロックグラスとタンブラー、それぞれに同じ伝統的文様を使用しているので、ご夫婦で形違いのペアグラスにすることもできます。形は違えど同じきらめきを共有すれば、お二人の距離がさらに近づくかもしれません。

様々なひと時を彩り、日常をより豊かにするような存在に。室町硝子工芸がお届けする新たな江戸切子グラスは、性別や年齢、趣味趣向、さらには時代性などの垣根も超えた、永く愛していただけるものを目指しています。

PRODUCTS