江戸切子の王道“ロックグラス”

江戸切子を思い浮かべた時、多くの方が“ロックグラス”をイメージされるかもしれません。実際「“ロックグラス”といえば江戸切子」と言えるほど、作品の数も多く、王道かつ人気のあるアイテムです。

江戸切子といえばロックグラス・オールドファッションドグラス

ロックグラスでたのしむ飲み物といえば、代表的なものにウイスキーがあります。江戸切子のロックグラスを愛用される方の中には、ウイスキー好きも多いでしょう。

そもそもウイスキーを注ぐロックグラスは、正式には「オールド・ファッションド・グラス」といいます。ガラスや陶器、金属などでできた、口が広く背が低いタンブラーです。大きな氷がそのまま入るため、ウイスキーやラムなどのアルコール度数の強いお酒に氷を入れて、ロック(オン・ザ・ロックス)で飲むのに適しています。

ではなぜ、江戸切子の作品には、ロックグラスが多く見られるのでしょうか。

「ロック」という飲み方は、少しずつ氷が溶けることで、味の変化をたのしめるスタイルです。つまり、じっくりお酒を味わえるということ。江戸切子の魅力には、その独特のきらめきがあります。職人によるカットを愛でながら、とっておきのお酒を堪能する。目、口、鼻など、五感を使い、ゆっくり飲むのに、江戸切子のロックグラスはむいていると言えます。

このような理由からも、ロックグラスは造詣が美しいものがよく見られます。中でもガラス製品の場合、氷による温度変化に耐えるためにも、グラスの底が厚い、どっしりしたつくりがほとんど。とくに江戸切子は、ガラス生地に伝統的文様などをカットするため、ある程度、厚みのある仕上がりになります。それゆえ重みもありますが、この重量感で手になじむという特徴も。手触りからも、ゆっくりお酒をたのしもうという気持ちを促してくれます。

 

江戸切子の醍醐味を味わう

「室町硝子工芸」でも、様々なロックグラスを取り扱っています。

 アンバー緑菊つなぎ矢来オールドグラス

100年近く続く、江戸切子工房の一つである「小林硝子工芸所」3代目の小林淑郎(よしろう)氏の作品です。黄、緑、赤の3色がなだらかに交わるガラス生地に、2種の伝統文様を施したグラス。底面まで緻密なカットが刻まれた佇まいは、テーブルに置いてある時、覗き込んだ時、明るい時間、日が暮れてからなど。見るたびに、新鮮な表情を見せてくれます。

アンバー緑菊つなぎ矢来オールドグラス

https://muromachi-glass-art.com/collections/rocks-glass/products/midoriamber-kikutsunagiyarai

 

 

黒オールドグラス 「絹」

こちらは「小林硝子工芸所」4代目の小林昂平(こうへい)氏の作品です。加工前のグラスは、全て黒色の状態。そこから丁寧に一つひとつ手を動かし、透明なガラス部分を削り出していきます。色の濃いガラス生地を扱うにはとりわけ高い技術が必要で、上部でほの淡く輝く「くもりガラス(すりガラス)」の表現も繊細な仕事です。モノトーンのモダンなデザインで、飴色のウイスキーとも好相性。黒色の江戸切子について詳しく読む

黒オールドグラス 「絹」

https://muromachi-glass-art.com/collections/rocks-glass/products/kuro-old-kinu

 

 

天開矢来オールドグラス

江戸切子の伝統的文様である「魚子(ななこ)」と「矢来(やらい)」が、空に向かって広がるように組み合わされた美しいロックグラスです。赤や青など、色のついた「色被せ(いろきせ)ガラス」がベースとなることの多い江戸切子で、透明なものにカットを施したシンプルな意匠。注ぐドリンクの色そのものを堪能することができ、幅広いライフスタイルにもなじむ作品です。

天開矢来オールドグラス

https://muromachi-glass-art.com/collections/all/products/tenkaiyarai

 

受ける光や、眺める角度で、様々な表情を見せる江戸切子。中でも、共に過ごす時間もたのしみながら、好きな飲み物を味わうグラスであるロックグラスは、江戸切子の醍醐味を堪能できる存在です。

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