職人と江戸切子 -Vol.4 シンプルだからこそ難しい「菊花」

伝統工芸である「江戸切子」は、ガラス生地に、江戸切子の職人が細やかなカットを施していきます。光を受けるとキラキラ輝き出す、繊細で華やかなきらめき。その美しさのため、職人は、日々、江戸切子と向き合います。

豊かな経験に甘んずることなく、目の前のガラス生地を見つめ、真摯に手を動かす。厳しくもすばらしい、その世界。

ここでは、世界に一つの江戸切子に欠かせない“職人”を取り巻くストーリーをご紹介します。

江戸切子 菊花文様

江戸切子の美しさといえば、やはり卓越した技術で刻まれる文様です。今回は「菊花(きっか)」という伝統文様についてご紹介しましょう。

「江戸切子の代表的な文様」を見る

菊花は、伝統文様の中でも、よく見かけるものの一つ。その名の通り、菊の花のような形をしています。グラスの底面にあしらわれることも多く、これは「底菊(そこぎく)」と呼ぶ場合も。覗き込んだ時にも華やかな印象が加わり、江戸切子の魅力をより堪能できます。

シンプルな文様ですが、職人に言わせれば「誤魔化しのきかない文様」なのだとか。美しさの鍵は、菊の中心と花びらの大きさを正確に合わせること。そのため、花びらの枚数が増えるほど中心を合わせるのが難しく、高い技術が求められます。

一方で、花びらの大きさや枚数で、全体の雰囲気が大きく変わるのも魅力。花びらの大きさを交互に変えるなど、アレンジがきくため、職人のセンスや好みで様々な作品が生まれます。菊花に惹かれるなら、いろいろな作品を見比べてみると、好きな江戸切子の職人が見つかるかもしれません。

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